銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

ナショナル・モール自転車ツアー(190503)

2019.05.03-2019.05.05

 

5/3 ナショナルモール Run ⒎5km

スマホと探究心をポケットに夜明け前の北東15番通りを南に向った。キリッと澄んだ空気が心地よい。ワシントンモニュメントに着く頃には太陽がのぼりはじめた。入念な都市計画で造成されたモール地区は人工的だが均整が取れていて美しい。誇らしげに堂々と配置された第二次世界大戦記念碑を抜け、公園の片隅にひっそりと目立たないベトナム戦争戦没者慰霊碑で一息ついた。政治的、宗教的主張は一切なくただ戦死者や行方不明者の名前のみが鏡面加工された花崗岩の壁にビッシリと刻まれていた。そしてリンカーン記念館へ登り小さい頃教科書でみたその姿を見た。彼の目線の先に美しい朝陽が昇り始めた

 

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5/3 Bike and Roll DC, Bike 13km

ガイドのジョー君は滑舌爽やかにおきまりのジョークも随所にちりばめ生まれ育ったこの街の見どころと蘊蓄を紹介していく。参加者のペースに合わせ散りじりにならないよう上手に皆を先導する。僕はサイクリング写真のプロだから撮って欲しければいつでも言ってねと。そして休憩時にはスナック菓子を配り気の利く人だ。ワシントンDCは自転車専用レーンがしっかり整備されており安心・安全だ、これぞ求めていた楽しい自転車ツアーだ

bikeandrolldc.com

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5/4 アーリントン国立墓地 Walk 5.4km

朝から曇り空だが涼しくてかえって過ごしやすい。ロシュリン駅から海兵隊記念碑、JFK墓地、無名戦士の墓を散策した。緑輝く芝の丘に数え切れない白い墓標が整然と並ぶ。時折リスが駆け回る静かで美しい公園のような場所だ。無名戦士の墓では丁度献花式が行われていた

 

戦死者に最大の敬意を表する式典の荘厳な雰囲気につられて僕もいつか必ず迎える自身の旅の終わりに思いをめぐらせた。いつ、どのように終わりを迎えるのかは分からないが、確かなことは、僕にとって手が届く範囲でもう目新しいものはだんだんと少なくなり、己れの限界も明らかになってきた。そして近いうちに得るものよりも失っていくものの方が多くなる節目を迎えるのだろう。諸行無常。淡々と受け入れていくしかない。その準備を始める時期なのだろうか

 

5/5 とうとう最終日。早起きをして小雨の中ジェファーソン記念堂へ向かった。アメリカ建国の父を讃えるふさわしい荘厳な建築物だ。大きな銅像ホワイトハウスを向いておりずっとアメリカの行く末を見守っていくのだ

 

ホテルをチェックアウトしバスでダレス空港へ。空港で荷物を預け最後の観光地スミソニアン国立航空宇宙博物館スティーブン F. ユードバー ハジーセンターへ向かった

 

ワシントンDCから高速を走り一時間ほどかかった。空港でチェックインをしてサービスカウンターの親切なおばあさんにバスのりばを聞いた。そこから約15分。とうとう憧れの博物館に到着した

 

バカでかい格納庫に、原爆投下作戦を行ったエノラ・ゲイ、冷戦時代の申し子、マッハ3の速度による摩擦熱に耐えられるよう機体の熱膨張を考慮し地上待機時は燃料をおもらししてしまうぶっ飛んだ設計で宇宙船のような史上最速の航空機SR-71戦略偵察機アポロ計画のロケット群、そして39回のミッションをこなし満身創痍のディスカバリー号が実機展示されていた。アメリカの航空宇宙開発の成果物である歴史的名機が所狭しと並べられ、アメリカの威信が詰まっていた

 

airandspace.si.edu

 

かなり無理して何年もかけてためてきたお金を思い切って使い、ネットや書籍で下調べを入念にこなし旅行計画をまとめ、それでも初めての土地にドキドキしながら楽しい旅ができた。お金と休暇の制限はあるけれども自分の思うように自由に計画を立ててそれを実行する。これが旅の楽しさだ

 

僕の旅行記にはファーストクラスや、高級ラウンジ、スイートルーム、リムジンというようなセレブな単語は出てこない。これからも縁はないだろう。それでもかまわない。身の丈でいい。この旅は僕の人生の貴重なライフイベントとなった。この先何年も事あることにこの旅を思い出し、何度も何度も同じことを語るのだろう

 

搭乗機は旧ヌエバエスパーニャ副王領サンフランシスコから六千海里向こうの旧スペイン領東インド・マニラへ向けて飛び立った。あっと言う間にアメリカ大陸は遠ざかり眼下には広大なマル・パシフィコ、平穏の海が広がった

 

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法執行機関職員専用TrekのPoliceバイク!めちゃほしいぞ

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シメは憧れのスミソニアン航空宇宙博物館の別館、ウドガー・ハジーセンターだ。なんだかんだいいつつもアメリカの威信が詰まっていた