銀輪日報

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標高2000mの信州美ヶ原で高山病にかかりまさかの敗退

 2016.09.13 68.7km

 

 

激坂ルートの美ヶ原林道をヨチヨチ登っていたら使い古したキャメルバックのリザーバーバッグのそこが抜け冷却水全喪失という不測の緊急事態に陥った。機材不良による敗退を考えたがここまでの時間と労力と経費がもったいなさすぎる。

 

 

昼飯用に持ってきていたペットボトルのお茶を頼りにそのまま頂上を目指すことにした。給水のためイチイチ止まるのがめんどくさい。ハイドレーションバッグの便利さを思い知った。案の定、脱水症状が現れて足がつりそうなのをだましだましヒイコラ登り続けた。

 

 

 

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浅間温泉から始まる美ヶ原林道は尾根の稜線上ルート。昔は有料道路だったようだが殆んど眺望がない。時折木々の間から松本盆地が見える。その先の北アルプスは、湿度の高い夏の空気に隠れてしまっていた。標高1800mを越えると濃霧というか雲の中に突入。

 

途中雨もぱらつき心細くなってきた。武石峠で敗退キメようか逡巡していると、「ここまで来て帰るのはもったいないですよ」と居合わせた同業者の助言を支えとしなんとか心が折れず登り切った。

 

美ヶ原自然保護センターの売店でようやく水分補給で息を若干吹き返した。それなりに観光客もいて心細さもなくなってきた。ここからさきは徒歩ルート、通信施設が立ち並ぶ小高い丘に向かいトボトボ歩く。

 

 

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テレビ中継塔があるあの小高い丘が最高地点の王ヶ頭だ

 

その魅力的な名につられアルプス展望コースに入ったが王ヶ頭回避の巻道でルートミスだった。結局その2039mの頂上は踏めなかった。多摩ニュータウンにありがちな胡散臭い命名だと思っていた美ヶ原は、その名にふさわしい絶景が広がっていた。ガスも晴れ、爽やかな風を味わいながら来てよかったぜと感慨にふけっていると、高山病の症状である動悸息切れと頭痛に見まわれ、休み休み歩みがますます遅くなった。

 

 

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アルプス展望コースからは絶景を楽しめる

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美ヶ原のシンボル美しの塔へ向かう。空気は清々しい

 

美ヶ原をビーナスライン側に抜けたのが15:30すぎ、計画を大幅に遅れ霧ケ峰を抜け下諏訪へ降りようとすると日没には間に合いそうにない。ここで敗退を決意した。眺望がひらけ開放感あふれるビーナスライン側も激坂だが車が多くチャリで登るにはちょっとイマイチ感あり。

 

 

高度1800mくらいで高山病が解消された。予め準備しておいた敗退ルートのアザレアラインで松本市街に降りた。最近ハマっている地元の農協の農産物直売所に立ち寄り、松本市山辺産の安芸クイーンという品種の大粒ブドウを購入した。

 

 

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黄色いケロリンの桶が備え付けられた昭和の風情が残る駅前の温泉でさっぱりとし帰り支度を整えた。18:35発の特急あずさは指定席がとれず鈍行でチンタラ帰宅の途についた。18:37発の3両編成の大月行きは同じように東京方面へ向かう乗客でごった返していた。一気に現実の日常に引き戻された。ガタガタゆられているうちに眠りに落ちた。