銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

イントゥ・ザ・ワイルド KLMBH #209 @Bukit Kiara

2019.01.29 

 

僕は赤道直下のクアラルンプールに住んでいたことがある。マレーシアはボルネオ島マレー半島の諸州によって構成される連邦国家だ。半島マレーシアの面積は日本の3分の1の約13万平方キロメートル。人口は2000万人。都市部以外はパームヤシやゴムのプランテーション熱帯雨林の原生林が広がる。

 

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物価は安く食事はうまい。南方特有の楽天的でフレンドリーな国民性。朝は快晴で夕方にスコールがどっと降るほぼ毎日同じのわかりやすい天気。暮らしやすい国だ。実際多くの日本の年金生活者が移り住んでいる。

 

 

そして僕にとって嬉しいことに未舗装路やシングルトレイルを存分に楽しめるMTB天国なのだ。

 

 

僕は地元のサイクリングクラブに入り辛抱強く時間をかけて少しずつ溶け込んで仲間を作った。毎週末いろいろなトレイルを駆け回った。朝7時に集合、30km前後のトレイルを走ってお昼を食べて解散。年に数度はお泊りライドにも出かけた。

 

 

僕はハッシュハウスハリアーズというゲームを知った。もともとはその地に暮らしていたイギリス人がうまいビールを飲みたい!という極めて純粋な動機から立ち上げた由緒正しいランニングクラブだ。「ヘアー(野うさぎ)」と呼ばれるコース設定者が「ハリアー(猟犬)」役の参加者が追いかけていくという鬼ごっこ

 

本来ランニングで行うのだが、大好きなマウンテンバイクを使って楽しんでしまおうというクラブがあり毎回100人以上を集める。月一回最後の日曜日のお楽しみだ。

 

まずはブリーフィングでライドの概要を伝えスタートだ。


ヘアーは先にスタートし小麦粉でマーキングしながらルートを作っていく。途中数箇所、チェックポイントというマーキングをわざと分断した分岐ポイントを設定する。みんなで正しいルートを探し出して追跡を続けるわけだ。ルートを発見するとオン!オン!(On!On!) と叫び皆に知らせる。皆もオン・オンと周りの追跡者にルートが繋がったことを知らせていく。その声がジャングルにこだまする。自然にお互いを助け合う参加者の一体感が醸成され結構楽しい。

 

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ペーパートレイル

 

 

鬱蒼としたジャングルをコースとするので流石に即興でマーキングし、追跡経路を作っていくことは難しい。事前にヘアーが現地でレッキ(試走)しコースを作ってしまう。小麦粉だと雨で流れてしまうので紙を目印として撒いていく。これをペーパートレイルという。このコース設定が腕の見せ所だ。

  

ゴールするとビールやスポドリで乾杯。遅れた仲間を待ちながらだらだら帰りの支度を始める。そして途中食堂に寄り皆で料理をつつきあーだこうだとしょうもない冗談と笑いで日曜の午後のひとときを過ごす。

 


味気ない東京のコンクリートジャングルに戻った僕にとってはもう思い出すことも少ない、少しずつ薄れていく古き良き遠い日の思い出だ。

 

 

 

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おつかれ!ゼッケイを楽しんでってくれ

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渡河はみんな大好きなアトラクションだ

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マカン(食べる)ハウス

 

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イントゥ・ザ・ワイルド

 

www.klmbh.org

 Eddie Vedder - Guaranteed (Into The Wild)

 

 

Happiness only real when shared.
Chris McCandless 1968-1992