銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

憧れの街東京都禁猟区で自転車チェーンの寿命について考察する

2019.09.16

 

連休最終日、朝から雨がぱらつく。天気予報はお昼まで冴えない見通し。退屈な日になりそうだ。ダラダラと過ごした午後3時過ぎ意を決してチェーンゲージとホーザンの六角レンチをポケットに自転車であてもなく出撃した。ま、とりあえず多摩サイを流そう。たまたま多摩水道橋で信号が赤になり津久井道を渡る機会を得た。僕は何も考えずにとりあえず渡った。その先は、東京都禁漁区。いつか功成り名遂げ本籍を移したい僕の憧れの街だ

 

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ココロの本籍地、東京都禁漁区

 

 僕は憧れの街でおもむろにポケットからチェーンゲージを取り出し伸びを測定し始めた。自転車の劣化はズバリ言い切るとふたつ。減るか緩むかのどちらかだ。この真理を見出すのに工学博士号はいらない。

 

変速機付きの自転車用のブッシュレスチェーンとは?

 

自転車でクランクからの動力を伝えるためのチェーンで、変速機付きの自転車チェーンはブッシュレスチェーンが多い。ブッシュとは円筒形状で、軸や筒状の部材にはめ込み隙間を埋めたり緩衝に使用される機構部品だ。用途により金属、プラスチック、ゴムなどがその素材だ。ブッシュはいわゆる滑りベアリング。潤滑剤が抜けにくいため摩耗が少なく、長寿命が期待できる。しかしながら横方向の遊びが少ないため変速ギアには適さない。ブッシュレスチェーンは、内プレートをプレス加工する時に、ブッシュの半分を一体成型してしまう。内プレートを2枚合わせることによりブッシュを形成する。そのため横方向の柔軟性が若干高く変速ギアに適しているというわけだ。部品が少なくなることにより軽量化、コストダウンという利点がある。しかし潤滑剤が抜けやすく定期的な差し油が必要になる

 

ブッシュレスチェーンの構造

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ブッシュレスチェーンの構造

上の写真はチェーンの一コマを分解したものだ。外プレート2枚、内プレート2枚、ローラー2個、ピン2個で構成される

 

チェーンが伸びる?とは

チェーンは鋼鉄で出来ている。磁石にくっつく。具体的な合金の配合比は企業秘密で非公開だ。引張強度についても公開されていないが、日本工業規格から類推すると8000N以上、すなわち800kgf以上。簡単にいうと、800kgの軽自動車を吊り下げられる強度だ。チェーンはギア部で屈曲する。その際にピンとブッシュ部が摺動する。すなわちこすれるのだ。そして少しずつ摩耗していく。チェーンオイルが黒くなる理由は、摩耗した金属による汚れでもある。摩耗するとガタが大きくなり、結果としてチェーンが伸びるということなのだ

 

 

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ギヤ上でチェーンは屈曲する。その際、ピンとブッシュ部が摺動し摩耗する

 

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チェーンの摩耗箇所

 

チェーンを取り替えて一年半強、今年だけで5千キロ近く走った。通常言われる寿命は5千キロ、そろそろ寿命のはずだ。完全主義者の僕は予防保全という考え方から壊れる前に寿命がきそうならサッサと新しい部品に交換してしまうタイプだ。バイクハンド製のチェーンゲージをあてがってみる。最初は基本の0.75%の伸び測定。余裕でクリア。問題なし

 

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ゲージがチェーンにくっつかなければモーマンタイ

ホッとしたような、僕の貧脚を改めて思い知るような複雑な気持ちだ。ま、ともかく僕のチャリはモーマンタイと安心して帰路についた。去りゆく季節を懐かしむように雨上がりの多摩サイは、チャリダー・ランナー・歩行者でごった返していた。僕はチェーンを大切にゆっくりと自転車を漕ぎ続けた

 

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名門ホーザン製の六角レンチセットと、バイクハンドのチェーンゲージをポケットに出かけた

 

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二ヶ領堰の魚道、今日は水量豊かに遡上を防ぐ

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小田急と釣り人とチャリ

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道は荒れているが確かに続いている