銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

信長攻路自転車散歩 (201227)

淡麗辛口のどごし爽やかな朝、ピリッと冷えた尾張の空は摂氏3℃。僕は庄内川沿いにマッハ4の等速直線運動で一路清洲城を目指した。現在の清洲城は1989年に建造された鉄筋コンクリート構造の立派な天守を持つ。さすが我らが天下人信長様の居城だ

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現在の清洲城。立派だなぁ

折角ここまで来たので清洲古城公園を散策した。紅葉の残る公園内に右大臣織田信長公古城跡の石碑がひっそりとたたずんでいた。えっ!こんなしょぼい丘が本拠地?比高3~4メートルほどの小さな丘。なんか子供の時遊んだニンジャ公園のほうがマシだ。右大臣の本拠地は東海道新幹線にぶった切られており、南側に行ってみると織田信長公の銅像桶狭間をにらみ屹立していた。ここが今日の旅の起点だ

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なんか子供の遊び場みたいな規模。これじゃ今川義元公の25000の軍勢には風前の灯火

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後の右大臣も最初は北名古屋の半グレ

ネットで見つけた名古屋観光コンベンションビューロー謹製、人生大逆転街道と銘打った信長攻路を自転車散歩。鎌倉街道ベースの出世勝運ルートの揚羽道、美濃街道ベースの大願豪運ルートの木瓜道、恋愛昇運ルートの永楽道の3つがある。揚羽道と永楽道は熱田神宮がゴール。なんとなく中途半端でチャリだと消化不足が否めない。折角なので僕は桶狭間を目指す木瓜道をたどる。何だ木瓜って?とグーグル先生に聞いてみると織田家の家紋だ。納得

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夫婦の絆、立身出生、必勝祈願パワースポット始まりの地、二人の愛と希望の丘と銘打たれている丘に立つ織田信長公のそばに正室帰蝶濃姫)の銅像が信長を見上げる。その説明書きには、「知的で気性のしっかりした女性というイメージがあるが、これは後世描かれた小説などの影響で、その実情はほどんど分かっていない。病弱説や離婚説など様々な説があるがどれも根拠がないという」書かないほうがいいんじゃないの?というちょっとがっかりするような内容だ。沈黙は金なりということわざを思い出した。織田信長公天下統一の第一歩が、ここ清須から始まり、幾多の困難を乗り越え、二人の絆や支え合いにより勝利を収めた歴史の地という能書きが若干虚しく響く。とにかく織田信長公はここから桶狭間を目指し見事今川義元を討ち取ったという史実は変わらないわけだ

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ここから桶狭間まで駆け抜けるのだ

清須から熱田神宮美濃路をたどる。途中、立ち寄って戦勝祈願したという榎白山神社で僕も戦勝祈願をした。確かに寄っとくかという気持ちがわかった

 

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景気づけにとりあえずお詣りしとこう。信長公もそう考えたはずだ

名古屋市内は信号多くてダルい。のんびり自転車散歩を決め込む。円頓寺商店街を抜け、グーグルマップで見つけておいた金色の織田信長公の銅像?と銀色の豊臣秀吉公の銅像を拝む。小さくてショボ

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なんか小さい。でもこういうのもいい

その後堀川沿いを南下、熱田神宮着。結構混み合っていて参拝には数分待ちの行列。コロナ感染者数連日更新している中、三密はやべえなと並ぶのは諦め、ちょっと遠くから手を合わせた

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年明け前に初詣済ませようと思ったけど三密回避であきらめた

織田信長公も桶狭間へ向かう途中、戦勝祈願に立ち寄り見事勝利した後、信長塀を奉納している。おお、これか!となかなか立派な塀を写真に収めた

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その後は、旧東海道沿いに南下、鳴海に近づくに連れ小高い丘陵地帯に入る。ここまで清州城から直線距離で20キロメートル弱。その間は平地。侵攻してくる敵に立ち向かうならこの丘陵地帯しかないよな。というのがよく分かる

 

織田方の拠点であった鳴海城跡に立ち寄る。標高14.2メートル。今は普通の公園で当時の面影は全く感じられない。有松の旧町並みを抜け、釜ヶ谷へ。雷雨の中、今川義元へ急襲の機会を待つべく待機していた場所。雨上がりに信長坂と呼ばれる丘を駆け上り一気に突撃、劇的な勝利を収めた場所だ

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案内板によるとここからダッシュして大勝利を勝ち取った

数百メートル先に「おけはざまやま」があり、現在は普通の民家の前に碑が残っているだけ。1560年5月19日、午後一時頃雷雨で立ち往生している今川軍に織田軍が突撃、午後4時にはおけはざまやまから50メートルほど下った桶狭間古戦場公園で今川義元は戦死。海道一の弓取りの名将と呼ばれ、静岡県と愛知県の半分を領有し25000の兵で尾張に侵攻、一方の織田軍はわずか3000。さぞかし無念だったに違いない

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普通の家の前にある。多分一回は通り過ぎてどこ?と思うだろう

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okehazama.net

 

 

今風に言うと静岡県警と愛知県警の半分の勢力が合同で無法地帯の尾張地方に一斉検挙に向かったが名古屋市北区の半グレ集団にまさかの敗北。そんな感じ

 

織田信長公にとってみれば、静岡地盤の今川組本家の組長自ら戦争じゃいと出張ってきた。舎弟の三河のカシラの松平元康(徳川家康)も鼻息荒く先陣きってドンパチしかけてくるしヤバすぎ、いまさら詫び入れても許して貰えそうにないし、ケツを割るにも周りは半目だらけで行き場所ないし。こうなったら腹ぁくくってカチ込むしかねぇと一か八かの喧嘩に打って出た、まさに窮鼠猫を噛む

 

そういえば今も川勝静岡県知事にリニア工事とめられ尾張が干上がるという構図は現代に続いている。歴史は繰り返すものだ

 

その後国の史跡、丸根砦(織田軍・全滅)、鷲津砦(織田軍・全滅)、大高城(松平元康)の各戦跡をまわった。吹けば飛ぶようなしょぼい砦で守備隊は全滅しているのが史実なのだが、それでも清洲古城に比べれば防御力はマシだ。当時若干26歳で鼻息荒いし社会経験すくないし、どう収めりゃいいかわからんとテンパって突撃するしかないという気持ちはよく分かった

 

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丸根砦全滅。えっ、こんなとこで守るの?つらいなぁ。戦死者の冥福を祈った

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鷲津砦、現在は雑木林と小さな公園のみ。往時の面影は全くなし

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鷲津砦の地割り、これでも清須古城よりは守りやすそう

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大高城から丸根砦方面、700m強の距離

 

大高城には何もなく本当に小高い丘に空き地が残っているだけの寂しい場所だ。なんかないかなぁと一応一通り回ってみるかと散策すると、空き地の奥に小さな神社を発見!説明書きには、八幡神社。1500年代初頭に鎌倉の鶴岡八幡宮から分祠したとのこと。何たる邂逅!去年年末に初詣に行った俺様専用鶴岡八幡宮を思い出した。やっぱり僕には鎌倉幕府だな。誰もいない静かな大高城址の城山八幡社でゆっくりと手を合わせ、家族の健康と幸せを祈願し初詣を済ませた。年末の初詣の定番コース化決定

 

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俺様専用鶴岡八幡宮分祠、城山八幡社

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19.12.24に初詣に参拝した鶴岡八幡宮本店。俺様専用。今年も俺様専用で待っていてくれた。うぅ。やっぱ僕は鎌倉幕府推しで

 

その後は天白川沿いを家路についた。暖かな陽気に充実した気分。いい自転車旅だった。いままで教科書の数行の記述でしかなかった桶狭間の戦いが随分身近になった。やっぱり現地を訪れて走ってみるとわかるものがあるもんだ

 

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奇襲攻撃で歴史の表舞台に躍り出た織田信長公はその22年後、明智光秀のクサレの謀反でこの世を去った。おおそうだ。今度は本能寺の変を追ってみよう。亀山城跡から本能寺まで20km弱。チャリ向きだね。来年の旅のテーマにセンゴクxチャリを一つ加えよう。清州城→小牧山城岐阜城安土城→本能寺まで自走して、その足で亀山城→本能寺のルートをたどる。おおそうだ天王山にも行ってみよう。楽しそうだな。勉強しとこう

 

 

帰還後この日のために買い置きしておいた清洲醸造株式会社謹製、清州城信長ミニ鬼ころしを電子レンジで熱燗にして往時を偲びながら歴史と芳醇美酒を味わった

 

onikoroshi.co.jp

 

オンラインゲーム配信大手のSteamとにらめっこしながら信長の野望・創造というのがレビューの評価高く地理と戦国武将を覚えるには良さそうだ。ただ2013年発売のゲームが1万円越え。ちょっと厳しいなぁ。とりあえずウィッシュリストにいれてセールを待つか

 

そういえば昔持っていたニンテンドーDSLite用にゲームが50本一つのカートリッジに収まった50in1とか今では考えられないものを通販で買ったよな。それに信長の野望が入ってたのだが当時は全然興味なく結局プレーしないまま本体ごとどっか行ってしまった。グーグル先生に聞くとDSLiteは2006年の発売。もう14年も前か。随分昔のような、あっという間に時間が経ってしまったような。そんな物憂い年末の夕暮れ

 

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桶狭間突破されたらもうダッシュで逃げるしかない地形

チャリ用に引き直したルートマップ。神宮前駅で高架橋を渡るときに「押し 」があるがそれ以外は自走可能。市街地なのでベストは折りたたみ自転車で輪行の自転車散歩コース

 

 

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清洲古城公園の信長像の説明書き

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大高城址

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