銀輪日報

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ドスパラPCのAcbel製電源をティアダウン!なかなかの逸品だ

 

突然の単独故障

僕のゲーミングPCガレリアXF(2017)が使用中にいきなりプツンと電源が落ちた。なんや?配線を確認しスイッチオンオフしてもうんともすんとも言わない。内部を観察するとマザーボードのLEDも消灯している。ヤマ感でこれは電源ユニットが故障かな。載せ替えて検証できる予備機がないからやってみないとよう分からん

 

例によって散々悩んだ挙げ句、ヨイショ記事につられて評判の良さそうなコルセア製CX550Mをポチる。サクッと載せ替え起動に成功!

 
これがヨイショ記事。でも電源の開発者という普段日の当たらない技術者の想いを聞ける貴重な記事だ

akiba-pc.watch.impress.co.jp

 

こいつをポチった

Corsair CX550M 80PLUS BRONZE認定 PC電源ユニット PS627 CP-9020102-JP

Corsair CX550M 80PLUS BRONZE認定 PC電源ユニット PS627 CP-9020102-JP

  • 発売日: 2016/04/02
  • メディア: Personal Computers
 

 

適正な電源容量とは?

電源の容量は出力電力W(ワット)で表示される。例えば100Wの電源であれば100Wの電球(負荷)は点灯できるが、600Wの電子レンジは動かせない。車のエンジンの大きさみたい考えることもできるよ
 
注意しなければならないのが僕のPCの負荷が例えば300Wだからといって300Wの電源を用意すればよいわけじゃない。電力の変換効率とか、各部品の寿命など考えて自作PC的には負荷率50%が理想とされているんだ
 
適正な電源容量を算出するには電源電卓が便利だ
 
これでやってみると、僕のマシーンの実容量は343W、電源の負荷率は50%が最も効率良いとされているので電源電卓上は最も最適な電源は686Wと出る
 
そうするとコルセア750wが選択肢となるが、12,000円もする! 650wだと8,580円。550wだと6,568円だ。お客さん松竹梅で用意しましたわと絶妙に悩ましい価格設定だ
 
チャリのコンポと一緒だ。マウンテンバイカー憧れのXTR、次のグレードでXT、SLXとかあるが結局僕は無印Deoreでハッピー!よしこれで行こう。所詮お遊び。ど素人の僕は550Wで十分。この辺のさじ加減はおサイフと相談しながらだね

 

いよいよ分解してみた

PCの再起動に成功し安心したところで要らなくなった標準装備のAcBel社製電源をカッコよく言うとティアダウン、もしくはリバースエンジニアリング、VAVE (価値分析と価値工学) を実施した。平たく申し上げるとヒマだから捨てる前にぶっ壊してみた

 

ネットでは賛否両論の電源メーカーだ。僕の場合、導入から2年半で故障。せっかくだから僕も調べてみよう

 

Acbel社会社概要

まずはお前たち何者?ここから始めたい。会社概要を調べてみた。なかなか立派な会社だ。僕もぜひ入社してみたい。門前払いだろうけど

 

AcBel Polytech Inc 台湾証券取引所上場

設立1981年
従業員9000人
時価総額450億円
売上高680億円
研究開発投資42億円 (売上高6.1%)

 

ブルームバーグでの会社概要

https://www.bloomberg.com/profile/company/6282:TT

 

分解観察

いよいよここからが本題。まずは外観観察

500W電源なのに品名はiPower85 550と紛らわしい

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ファンとケースを外した状態。ホコリだらけできったねー!こりゃ壊れても文句言いづらいなぁ

 

左下の黄色で囲んだ部分が入力側、整流回路だね。オレンジがスイッチングと制御回路部分。青が二次側の整流・平滑回路で出力側だね

 

当たり前だけどお決まりの回路配置という感じだね。ATX電源は枯れた技術だしね。エンジンは信頼性が重要だからそれでいいんだけど。ご家庭で使うにはF1サーキットで太く短くとんがるピーキーフェラーリエンジンより、世界中のどんな環境でも活躍するホンダスーパーカブの頑丈で枯れたエンジンのほうがいいよね

 

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ハンダ面も観察。なかなかきれいに仕上がっているぞ。好印象だ!さすが電子立国の台湾だ

 

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多分ヒューズが飛んだのかな?あとで見てみよう。交換前提としていないコスト重視の直付けだ。ま、このローエンドのATX電源をヒューズ交換して使う酔狂なやつもいないからこれでいいよね

 

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皮膜を外すとセラミック管ヒューズが出てきた。メーカー不明。切れてるかどうか観察ではわからない。テスターないし

 

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ぶち破って内部観察、溶断痕はなさそうだがこの状況ではなんとも言えないなぁ

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直付けの出力ケーブルをぶった切って部品配置を観察する。基板は低コストの紙フェノールだね。見た感じレイアウトはキレイにまとまっているなぁ

 

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ケースへはビス3点ドメ

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電源の寿命を左右する冷却ファンと電解コンデンサは?

じゃ、有寿命部品のファンと電解コンデンサを見てみよう。まずファン。YaTe Loon社製、しらんけどAmazonでも出てくるぞ!
www.yateloon.com

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軸受は無難にスリーブベアリング、静音性とコストに優れるが寿命がある。今回は問題なかったしね

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電解コンデンサメーカーは台湾・中国製

基板からひっぺがえして並べてみた。デカイヤツは、一次側台湾TEAPO製、85℃品。二次側はすべて105℃品、TEAPOとLtec(台)、Aishi(中)の製品だ。Aishiは知らなかったが、1985年創業の中国最大の電コンメーカーとのこと。次のような優良なサイトも参考にしてね 

capacitor.web.fc2.com

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まとめ
ティアダウンして外観観察結果は、半田付けは綺麗に仕上がっている。無難な設計というか規格化されたATX電源なんで良くも悪くも50歩100歩だろ。基板は紙フェノールの片面基板、冷却ファン、電コンは台湾・中国製だが中国語同士エンジニアの意思疎通も良くそれなりに擦り合わせや設計検証されていることだろう
 
こういうコンピュータ機器製造は台湾・中国が本場、下手なメードインジャパンよりも製品としてまとめるパッケージング能力が高い気がする。餅は餅屋だな値段勝負のコモディティ化したATX電源というカテゴリで卒なくやっている感じだ
 
僕は日本製部品神話をあんまり信じていない。ソニーの画像センサくらいじゃないの?ぶっちぎりですごいのは
 
そして日本人エンジニアがしどろもどろな英語で出る幕ではない。敢えて大将におまかせ方式のほうがうまくいく。中華材料を使いこなすには中国人のシェフに限る
 
これに下手に日本企業が関わるとオワコンの元開発者が品質保証部長なんかに居座ったりしてグダグタとなかなか製品認定をくれない。そして生産技術も頼みもしないのにしゃしゃり出てきてこんな作りにくい設計するなボケ!といじめられ一生懸命考えた美しい設計が妥協の産物と化していく。そして営業にはこんな中途半端なモノ売れるかと文句を言われる。踏んだり蹴ったりだ。やってられるか。とはいえ僕も「どうよ?これ」と世に問うてみたい革新的なアイデアがあるわけでもなし。辛いところだ
 
このPCを購入して2年半初めて筐体を開けた僕の使い方のほうが問題だろう。年に一回は内部のホコリを取り除き綺麗に清掃すべきだと反省した