銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

ロマン主義的消費主義的欧州旅行の結末は

フィレンツェ発ミラノ行きの赤い新幹線フレッチャロッサ9544号は意外にも定刻運行でトスカーナの大地をかっ飛んだ。晩飯は老舗レストランへ行きリゾットアラミラネーゼをいただく。これ絶品。家に帰ったら自分で作ろう

 

 

そんでガレリアの雄牛のチンポコかかとで踏みつけぐるぐる回っておいた

 

 

灼熱のマドリードの目抜き通りのバス停の温度表示は51度!湿度が10%台で日陰では涼しい危ないパターン。ジモティは炎天下日傘もささないで露出多めに涼しげに闊歩していていた

 

 

そしてこの旅の最後は憧れのスリの都パリ。空港からタクシー飛ばして猛ダッシュで医療研究所へ直行しPCR検査を受けた後ステキな街を散策した。涼しくて気持ちいい夏の北海道という感じだ。観光コンテンツてんこ盛り。今回の目玉はルーブル美術館。事前予約しているのに入場まで30分待ち。フランス帝国の偉大さを象徴するような馬鹿でかい館内にエジプトやら古代ギリシャやら中世の美術品の石像、絵画、一部武具や遺跡を移築したようなものまでお宝が所狭しと並んでる。 この旅で美術館を何ヶ所か訪れたが、石像系はなんとなく分かるが西洋絵画は宗教的、歴史的素養がないと味わいが深まらないと理解した。ようは感動しない。意外なことに抽象画のほうが見ていて想像力が掻き立てられ鑑賞していて楽しい。その意味ではマドリードのソフィア王妃芸術センターの現代アートの方が僕には合っているようだ。よくこんなの思いついたよなというフィクションの方が映画でも小説でも絵画でも創造性に感銘を受けるよね 愛好家・好事家にとってはお宝に囲まれた至福の空間なんだろうが、ど素人な僕には似たようなのが大量にありすぎて短時間では消化しきれそうにもなく、ウゥエップ状態。オノボリらしくミロのビーナスサモトラケのニケ(Just do it)とモナリザを拝んでおこうと方針転換。

 

 

モナリザの前では黒山の人だかり。すげえ!皆んなスマホや一眼レフで写真に収めようとして長い順番待ちだ。折角目の前にあるんだから肉眼で楽しんだ方がいいんじゃないの?家に帰ってから図書館に行って画集を借りてきて味わった方がいいじゃん ただモナリザをバックにバッチリセルフィキメる西洋のお嬢様方のほうがお綺麗でサマになってますねと鼻の下をのばしながら思わずそっちのほうにデレデレ見惚れてしまった。現地で体験しないとわからない新しいモナリザの楽しみ方を発見! シメは定番の凱旋門の真下にある偉大なるフランスを偉大たらしめた唯我独尊俺様将軍ドゴール様の6月18日のラジオ演説の金属レリーフ前でありがたやと合掌。

 

 

『ドイツ軍の電撃線に蹴散らされナチのポチのヴィシー政権が勝手に休戦しようとしてるけどオメーらこれで終わりか?ゼッテーちゃうやろ?やる気のあるやつ俺について来い!どんなやつでも歓迎するぜ。フランスの抵抗の炎は消えてないし、消しちゃあかんよな?俺は明日も同じこと言い続けるぜ。ヨロシク!』とBBCのラジオを借りてフランスの皆様へ呼びかけた。当然当時は誰お前?メンドクセーやつと誰も聴いておらず、録音さえされていないが、このオッサンの粘り強い俺様力でなぜかフランスを戦勝国に捩じ込み、戦後核武装し米ソに並ぶメンドクサイ第三極の地位固めたのだ。ま何にせよ徒手空拳でここから始めたありがたい場所だ 決まりきった日常を脱出しおなじみの秩序を後にし遠方の土地を旅してその土地の空気や匂い、文化や規範、風習にふれ知識を経験に昇華させ記憶に刻んでいくという旅の目的は今回もかなえられたはずだ。こうして虎の子の貯蓄を気前よく散財したロマン主義的消費主義な欧州旅行は終わりに近づいた。ちょっとしたトラブルも粘り強くいろいろな人に相談し解決しつつ無事に帰国の途についた。13時発の関西空港行きAF292便のチェックインを済ませL44ゲートで満員御礼の搭乗のアナウンスを待ったが待てど暮らせど搭乗が始まらない。3時間待たされた上で操縦士がコロナ陽性となり代替の操縦士が濃厚接触者のクルーと仕事したくないと乗務を拒否したというフランスらしいストレートな説明で結局欠航。はっきり言ってくれたほうがいいよね。

 

 

荷物を回収し再度長い列に並び直し、代替スケジュールは提示されないままとりあえず空港ホテルをあてがわれようやく19時にチェックイン完了。トーゼン折り返しの明日の大阪発AF291便も欠航。

 

こうして非日常的な新たな経験がもうひとつおまけに付いてきた。しかも勘定は航空会社持ちで楽しめる無料コンテンツとして。大変ありがたいことでございますなぁと合掌