そう。無知、無教養、無産階級の僕は消費主義という資本家のプロパガンダに煽られ続け、なけなしの蓄えをはたいて生涯一度の大旅行第二弾、イタリア・スペイン・フランスのラテン系南ヨーロッパ諸国へ旅立つのだ。富める者は投資し、そうでない者は消費する。それでいいさ。異国の街を散策し定番の郷土料理をいただき、お決まりの観光名所を訪れてみる。たしかに単なる消費活動の一形態に過ぎないが、実際に感じた街の雰囲気は空気は体験として僕の心や記憶に刻まれていく。知識から経験への昇華だ。記憶をたどってみると、上海、マニラ、香港、クアラルンプールで暮らし30の国や地域を訪れた。結局、どこにいても僕は異邦人気取りで何事にも斜に構えて深くコミットしてこなかったチキン野郎だった。いろいろ回り道した結果、その土地にしっかり根を張り生活基盤を築いて暮らすというどローカルな生き方が正解だといつしか思うようになった。隣の芝生は青いのか、歳をとって保守的になったということだ
関西空港発のフランス航空291便の飛行ルートは思いっきり世界情勢の影響をうけ、いつものシベリア横断の直線的な最短ルートではなく、ゴビ砂漠、カザフスタン、黒海、トルコ経由の南回りルートをこまめに進路調整し大回りしながら16時間の長時間フライトがようやく終盤に近づき経由地のパリ国際空港へ到着した
空港でバカ高い夕食をいただき合掌。乗り継ぎのローマ行きAF1004便の搭乗ゲートは年末のアメ横のようにたくさんの荷物を抱えた人々でごった返す。マスクつけているとお前ビョーキ?と言われそうなくらい肩身が狭い。搭乗を待つ長い列の最後尾でいつも通り予定より大幅に遅れている搭乗手続きのアナウンスを気長に待ち続けた