銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

廃道タラガ谷~大栃線をゆく Rail&Dirt 57.9営業キロ 200425

2:30pm。倒木と大岩で通行不能そして路肩は崩落。引き返すべきか?緊急リスクアセスメントに着手した

 

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ブオーンというディーゼルエンジンの響きとちょっと排気ガスのかほりが漂う1両編成の汽車にガタゴトゆられ、まったり流れゆく里山風景を楽しんだ。非電化単線の長良川鉄道。以前は越美南線と呼ばれていた。鉄道省により美濃太田から両白山地を越え、越前花堂までつなぐ150キロの越美線が計画され、1923年に一部開業。越前側からも路線を伸ばすがついに分水嶺を超えることができず24キロの分断箇所を残したまま、未成線として越美北線と越美南線という2つの盲腸線が残った。鉄道界のロミオ&ジュリエット。国鉄が果たせなかった夢を今度チャリで探索してみよう

 

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湯の洞温泉駅下車。当然俺様専用。よっこらせとチャリを組み立てるもディレイラーハンガーがヒン曲がってぶっ壊れていた。まじかよ。30分悪戦苦闘の末、なんとか組み上げだましだましヒルクライムに取り付いた。中美濃林道は標高1000m強の尾根を縦走する山岳道路。静かでサイコーだけど残念ながら全線舗装。ローディが挨拶もなく追い越してゆく。お前生意気だけど全然追いつけないので特別に許してやるぜ。お前今日はツイてたな 中美濃林道を終わらせ本日のお楽しみ。林道探索開始!ネット調査では数年前に廃道化が始まったタラガ谷大栃林道をスケベ心でのぞいてみる。行けるだけ行ってダメなら引き返せばいい

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最初はこんな感じだ。ひょっとして貫通可能?


なかなかいい調子で数キロ進んだところでいきなり大岩と倒木で通せんぼ。しかも路肩は数十メートル崩落し谷底へ。やっぱダメなのか?引き返すべきか? こういう場合まずはチャリをデポして単身進んで先行偵察。タイヤ痕を丁寧に探してみる。なければ轍が残っているかどうか、交通障害となる落石の有無の確認。放置されているようならその道は使われていないということだ。残念ながら使われている確信は得られなかったが路面状況は悪くない。うーむ悩む。国土地理院謹製の地形図を確認し。林道は地図上には存在し谷筋を登り稜線にでるその後は貫通を確認している林道に接続。途中で国道へ降る脇道もありそうだ。せっかくここまで来たんだ、まだ時間があるし前進を決めた。初心者にありがちな危ないパターン。自信がないときはサクッと引き返すのが定石

 

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慎重に崩落地点を乗り越え攻略開始、浮石でトラクションが得られずまともに登れない。自転車を押したり、乗ったり時間をかけて進んでいく。奥に行くにつれて林道は自然に帰りつつあり険しさが増し、ほぼ山歩き状態。落石、倒木、崩落でかろうじて道としての面影は残っているが、今度毎年やってくる50年に一度の災害級の大雨や台風が来たら多分もう終わりだ。再訪することはないだろう。自然の力を感じながら進む。洗い越しで休憩。チョコパイをかじりながらふと思い出した。「人間が勝つか、山が勝つか。それは常に山が決める」 滑落=遭難という感じのアブナイ廃道をトボトボ進む。時間がどんどん過ぎていく、15時までには下山を始めたい。ギリギリ。稜線をトボトボ自転車を押しながらついに他の林道へ接続。ここが本来予定していた大谷大栃林道だ。ふう。常に安全マージンを十分に確保してきたつもりだが、今回はちょっと心細くなった。しっかり記録を残し、心を引き締めてかかろう

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大谷大栃林道は峠付近2~3キロ、積雪地帯の春先らしくらしくガレまくりで乗りにくい。やっぱダートの季節は秋だよなと思い出した。途中からは引き締まったライトグラベルをヒャッホーと駆け下りる。楽しい。思ったより体力と時間の消耗が激しく予定していた郡上八幡城の観光はキャンセル。適当に線路を目指し、たまたま相生駅へ。なんだ?「相生」ってどう読むんだ?とググる。アイオイ。同じ根っこから2本以上の木が生えること。夫婦がともに長生きするという意味だ。良い言葉。そうだ勝つでも負けるでもなく僕が目指すべきは相生なのだ

 

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