「勇気を感動をもらいました。ありがとう!」とインタビューに答える惜しくも負け試合の代表戦で涙を流すサポーター達。
オレは、イケアの安物のソファに寝そべりながら東芝製の32インチ液晶テレビを眺めお茶をすすりつつ、アホかお前ら、お前はただ座ってみていただけの関係性だろ?自分自身で苦しい思いをしてなんか努力をしたわけでもなし。
そんな他人ごとのくだらね~ことで泣くなんて、オメーらよっぽど薄っぺらの冴えない人生を送ってきたんだろうなぁ。サッカーに自分の人生乗っけてんじゃねーよ。と心なく軽蔑していたものだった。
そしてオレは今日そのアホの仲間入りをした。
前半30分までにFC岐阜のエース難波にさくっとハットトリックを決められる一方的な展開。あまりにも一方的で不甲斐ない試合運びに前半終了時点でゴール裏のサポーター達からブーイング。
どうせ今日もダメだ。しかも最下位の岐阜にナニ全然冴えねえ試合してんだよ状態のお通夜のような空気がスカスカの味スタの空を覆い尽くす。
吹っ切れた感じで後半はゲームの主導権を握るも、どうしてもゴールを割ることはできなかった。後半も30分を過ぎ0-3にまま試合は動かない。さすがに今日はもうダメだろう、でもどうせだから最後まで見ていこう、多分サポーター達から大ブーイングが最後に見れるはずだ。
オレは試合はどーでも良くなり、敵将のラモスの動向に注目する。さすが相変わらず熱い男。精力的に動きまわりいろいろ大きい動作で指示を出す。絵になるやつだぜ。
残り5分でジジーの永井がチャンスを作り出す、カットしたボールをゼエゼエいいながらドリブルでなんとか前線まで辿り着きピニエロ君にアシスト。残念ながらポストに弾かれたところ平本がいい場所にいてそのまま押し込みまず一点。
残り3分でフリー・キックを得、中後が芸術的にゴールに直接放り込んで2点。まぁ、よく頑張ったけど、もっとはよやれよな。敵のゴールキーパーはイケメン川口。お前まだ頑張ってたのか。そのまま時間は流れ、ロスタイムは5分との表示。
ロスタイム中にピニエロ君が左奥からセンタリングをきちっと上げ、地元出身の杉本君がアタマでビシッと決めこむ。うおー。信じられないけど同点だぜ。
まぁよくやった。オレも嬉しくなって、タオルマフラーをブンブン振り回していたりすると。なんかしらねーけど平本が美味しくボレーでキメて4点目。なんなんだこのB級映画のような単純明快でわかりやすい逆転劇は。このありえね~展開にゴール裏は皆総立ちで踊り狂った。
結局ロスタイム含めた残り10分で0-3がひっくり返った。今日は諦めていたラインダンスを皆でシメに踊った。冷たい春の雨が降る多摩の夕暮れ、ボクのココロのスミッコには、なにか小さいけれども熱いものを感じた。
そうか、諦めさえしなければ、こういう奇跡のような逆転劇もありうる訳だ。いきなりハットくらって心が折れそうになっても、どうしても点がキマらずココロが焦っても、どうせ負け試合だろ?とまわりが思っても、ブーイング食らっても、本人たちが最後まで諦めずボールを追い続けることができればやがて流れをつかみとり、そして勝てることもあるのだ。
今日はいいものを見せてもらった。そんなことを考えながらすっかり暗くなったチャリをキコキコ漕ぎながら稲城大橋を南に向かった。
大逆転の瞬間
岐阜側からの眺め、ボールボーイ達も仕事を忘れて思わずガッツポーズ!
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