銀輪日報

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鏡泊湖と牡丹江 (181107)

 

鏡泊湖。中国国家重点風景景勝区だ。約1万年前の火山噴火による牡丹江のせき止め湖。身近な例では山中湖と同類だ。現在は風光明媚な夏の避暑地として賑わうとのことだ。

 

 

この湖のほとりに1933年満州国(1932-1945)文教部認可第一号の鏡泊学園が開校した。その理想は「大亜細亜主義を抱懐する青年を陶冶鍛錬し、満州建国の理想成就に献身すべき模範的人材を養成する」というもの。第一期生として200名が国士舘中学校から入学した。経営は思わしくなく匪賊により設立者含めた主要メンバーが殺害されたこともありわずか三年で閉鎖された。

 

1929年のウォール街大暴落に端を発した昭和恐慌により多くの農民が困窮に苦しんでいた。約27万人が満蒙開拓団として移民した。敗戦間際のソ連軍の侵攻と逃避行、敗戦の混乱で8万人が死亡した。

 

多くの開拓民は長野県出身で日本で唯一の満蒙開拓専門の記念館があるとのこと。

 

 

僕は11時間の大陸横断フライトで登場していたルフトハンザ機から凍てつく大地を見つめていた。特徴的な地形に後で調べてみようと何気なく写真を撮った。

 

鏡泊湖の歴史をほんの少し学んだ。そんな物語があるとは夢にも思わなかった。そして11月初旬に凍てつく大地の写真を見返し当時の苦労が少しわかった気がした。

 

知ってか知らずかこんな厳しいところに夢を託して移民せざるを得ないほど貧しかったのか。

 

 

僕はいつも新しい世界を見たいと思ってきた。そう思えること自体が幸せだということに気がついた。

 

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右上部に、渤海国(698〜926)の首都・上京龍泉府が置かれた渤海鎮という村が見える


 

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