本当に必要なものを突き詰めていくとシンプルになる。しかし機能的で信頼性が高い。そして美しい。
例えばリーバイス。テントや帆に使用されるキャンバス生地で縫製されたゴールドラッシュに夢見る鉱山労働者向けの作業着として1873年に開発その後、ニーズを取り込み改良されつづけたのは有名な話だ。
1890年「501」と品番を打たれた時には、インディゴ染めの染色。リベットで補強されたコインポケットを含む5ポケット。品質の証として右後ろに縫い込まれたブランドパッチ。現在のジーンズの原型としてデザインはほぼ完成されていた。
今でも世界中の老若男女のカジュアルウェアの定番として誰もが一本は持っているであろう定番アイテムだ。
1990年Gショックブームに沸く腕時計業界で1991年にひっそりとF-91Wが発売された。当初は海外モデルで長らく日本では入手困難だった。アルカイダに採用されたことにより一躍脚光を浴びた。ウサマ・ビンラディンはカービン銃AKS-74Uとともにこの安物の時計F-91Wも愛用していた。そのためビンラディンモデルとして一部のマニアに人気のアイテムとなった。そして2013年、年間300万台を誇る実績を引っさげとうとう国内正式発売にいたりチプカシを代表する定番モデルとなった。
La terrible historia del casio f-91w (文章はチンプンカンプンだが写真が素晴らしい!)
僕は潜伏先のタイでこの時計に巡り合った。ダイビング中にGショックの定番DW-5600を紛失、代替品を探していた。真っ黒に日焼けしたダイブマスターが安くて頑丈だぜと傷だらけで使い込まれたこのモデルを薦めてくれたのだ。
時計、日付(月はなく日にちのみ)、時報、アラーム、ストップウォッチ、バックライトという絞り込まれたシンプルな機能。余計なギミックは一切ない質実剛健な設計思想。それで$10~$15ほどの安物の腕時計なのに偽物が出回る人気商品だ。
僕は何件もお店をまわり、慎重に品定めをしホンモノを手に入れた(ホンモノは右のボタンを長押しするとCASIOと表示される)。スペックでは日常生活防水だがダイビングでも壊れないタフなやつだ。アタリの個体だったのかもしれないが、その後も普通に使い続けている。小さく軽くつけているのが全く気にならない控えめなやつだ。
もちろんサイクリングにも最適だ。最悪、泥だらけになっても気軽に水洗いでサクッときれいになる。ウォッチフェイスが小さく薄く、意外と傷がつきにくい。その値段からハンドルバーにつけっぱなしにしておいても惜しくない。
とにかく好きなように使い倒せる時計なのだ。
唯一の弱点は樹脂バンドの劣化。大切に取り扱っても数年でウレタンバンドが加水分解してちぎれてしまう。僕の時計も5年ほどで切れてしまった。交換用の専用バンドは売っていないし。使い捨てで買い直すアイテムなのであろうが、なんだか愛着があって捨てるには惜しい。
そこで時計本体より高くつくがNATOストラップへ換装することにした。NATO軍御用達の時計用ナイロンバンドがその出自でアウトドア用途にぴったりだろう。時計本体が薄いのでバンドも薄いものでないとラグに通りそうにない。慎重に品定めをしポチった。
案の定、そのままではラグに通らず取り付けピンを外し装着を試みた。バネ式の棒ではなく、単なるステンレスの棒、これがプラスチックの時計の筐体に圧入されているだけのシンプルな構造。クリップを伸ばした自作ツールで慎重にピンを押し抜き、18mm幅のNATOストラップを通して元通りにピンを付け直して完成だ。作業自体は10分ほどで終わる。
バンドを替えてみるとなかなかステキな雰囲気に変身した。男前だ。この安物の時計の寿命が伸びた。電池が切れるまで使い続けよう。そして止まったら電池交換に挑戦してみよう。それでだめなら買い直しだ。
僕はもう時計選びに迷うことはないのだ。
若き日のバラク・オバマ元大統領も愛用。なんか横文字を読むのはチンプンカンプンだけど、写真を眺めているとわかったようになる。
Is the Casio F-91W Watch the Ultimate Terrorist Timepiece?
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Casio F-91W: The Best Wristwatch in the World?