銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

大菩薩ライン柳沢峠と多摩川源流を求め笠取山1953m登山 (161105)

2016.11.05 83.1km 

 

 

なけなしの国防予算で調達したバカでかいドイツ軍御用達のマウンテンパーカーが押し入れの中で行方不明。午前3時に途方に暮れたがヨメさん起こすのはかわいそうだからまあいいやとあきらめた。


今日の任務は奥秩父山塊笠取山山域での山岳パトロール。取り付きの作場口までチャリで、そこから徒歩で標高1953mの笠取山の攻略を目指す。

 

バイク&ハイクの機動力を駆使した重要なミッションだ。別にだれに頼まれたわけでない自分で勝手にやっているだけだ。なんとなく志願兵の気持ちがわかったような気がした。強い意志と目的意識で自発的に困難に取り組んでいくデキる人材なのだ。などと意外と空いている奥多摩線の始発でボーッと考えていると気づいた。

 

 

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もっと的確に言うならば週末の南武線によくいるアイツ。これまた誰もお願いしていないがブツブツとしかし妙に特徴をうまく捉え結構サマになる駅構内アナウンスや車内放送を独自に実施運用を行うセルフ車掌。

 

僕もやってることアイツと同じじゃん。今まで冷ややかな目で見て悪かった。お前なりに目的意識と誇りをもってセルフ車掌業務に取り組んでいたのか。僕は山岳パトロール。同志じゃないか。と新たな発見があった。今度時間を見つけて登山家とセルフ車掌の心理学的親和性と同質性に関する論文をまとめておこう。

 

 


奥多摩駅前は人がまばら。いつもはハイキング客が長蛇の列を作る丹波山村行きの西東京バスの運転手もなんとなく手持ち無沙汰だ。シーズンの変わり目で少し寂しげ。

 

僕は上着を脱いでいつもの通り半袖・半ズボン姿になった。流石に寒い。しかしここから40km延々と上り坂なのだ。すぐに体は温まり、太陽も登ってきて絶好のツーリング日和になった。丹波山村を抜け、激坂の一ノ瀬林道を淡々と登り続けた。

 

標高は1000mを越え青空とフォトジェニックな絶景が続いていた。交通量殆どなく、僕しかいないけどサイクリスト御用達のゴキゲンな狭幅員の山岳道路だ。



奥多摩の駅から登ってきました』とライドバンで紅葉狩りにきていた老夫婦に答えると、えええっ、すごいねー。と腰が抜けそうなくらい驚いたのでこっちが心配になった。心臓マヒになると困るので途中でチャリを乗り捨て笠取山へ登る計画はココロの中にしまっておいた。

 

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一之瀬川渓谷沿いを登る

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一之瀬川の渓流だ




標高1330mの作場口でチャリを放棄。気休めに持ってきたニューバランスのミドルカットのハイキングシューズとトレッキングポールを装備して登山家に変身。山頂を目指す道に取り付いた。11時ちょっと前という遅い出発のため、道中誰にも合わずエクスクルーシブな紅葉の原生林のなか山岳散歩をのんびりと満喫した。

 

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笠取山登山口で二足目のわらじに履き替える

 


途中、多摩川富士川・荒川の分水嶺に出くわした。それぞれの斜面に降り注いだ雨粒が最終的にそれぞれの大河の流れとなるのだ。どの斜面でオシッコしちゃいけないか教えてくれる重要な目印だ。稜線に出るとマウンツフジから南アルプスまでの絶景が広がっていた。山頂までの最終レグは急斜面の急登。結構足に来る。

 

 

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笠取山山頂まで水平距離で1/4マイル


12:51pm登り始めて約2時間、笠取山山頂を踏んだ。南西方向に広がる絶景を楽しんでいると吹きさらしの風が強く動きを止めると寒い。周りを見渡すとやっぱりボクが一番服装および装備がショボいというか登山を舐めている格好だ。半ズボンなんて僕しかいねえ。緊急保温用のアルミシートすら持って来ていない。

 

 

万が一天候が急変して雨でもふろうものなら低体温症でいの一番にオダブツだ。典型的なドシロウトによる山岳遭難記録一丁上がりというところだ。さすがにこれは反省した。今後標高1500m以上のヤマはきちんと登山装備をすることに自己規制を行うこととした。

 


頂上の稜線をすすみ結構アブナイ岩場をすぎると誰もいない本当の山頂があった。下りは巻き道沿いに進んでいくと今日の観測目標地点の水干についた。多摩川138kmのグラウンドゼロだ。残念ながら干からびていた。山頂直下の標高1880mという高い位置から流れ出していることが印象的だ。

 

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多摩川源流。138kmのグラウンドゼロだ。

 

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3時前に無事下山。サイクリングシューズに履き替え一ノ瀬林道を突き進んだ。さすがに登山をこなした足はもうヘロヘロだ。青梅街道に戻ったら素直に奥多摩へ下ろうと思った。しかし結局、激坂愛好家魂が俺を柳沢峠1472mへ向かわせた。標高差400mの登り返しだが登っている分にはしあわせだ。

 

4時過ぎに柳沢峠にふらふらとたどり着くと夕暮れの甲府盆地の先にマウンツフジがフォトジェニックにそびえ立っていた。塩山駅まで17km。標高差1050mのダイナミックなダウンヒルを一気に駆け下りた。充実の一日だったがさすがに疲れた。ちょっとフンパツして行きつけの居酒屋でうとうとしながらビール3杯飲んで今日のライドを締めた。

 

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柳沢峠からの眺め

 

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塩山までのダウンヒル