銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

第九陸軍技術研究所跡、通称登戸研究所 (160618)

古き良きあの頃。僕らは農作業小屋に勝手に入り込み、拾ってきた大量のエロ本や読み終わった週刊ジャンプ軟式野球ボールとかゴルフボール。竹バットとか木で作ったゴルフクラブやビックリボール、ビー玉をずいぶんと溜め込んだ。そこは放課後の小さな社交場となった。僕らはそれを秘密基地と呼んだ。

 

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秘密基地らしい外観にワクワクするぜ

 

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密秘事軍の刻印が素敵な石井式ろ過装置。たぶん自宅に備え付けの三菱レイヨンクリンスイの祖先

 

僕らはいつの間にか大きくなりそれぞれの道を歩み始めていた。そして僕は本物の秘密基地を訪れた。第九陸軍技術研究所の跡地だ。通称登戸研究所。秘密戦のための兵器・資材、開発のための研究機関で当然一般には秘匿された。

 

秘密戦の事業領域は、防諜(スパイ防止)・諜報(スパイ活動)・謀略(破壊・攪乱工作・暗殺)・宣伝(人心の誘導)から成り立ち国家の外交活動である戦争を水面下から支援する。ガキどもがわくわくするような業務内容だ。

 

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入場は無料、受付でめんどくさそうなアンニュイなお姉さんから、上質なコート紙にフルカラー印刷されたガイドブックを手渡された。よくある取ってつけたようなどうでもいい内容で見終わったらごみ箱直行ではなく、学術的なアプローチでコンパクトにまとめた質の高さに驚いた。家に持ち帰ってじっくり読もう。

 

展示物は、風船爆弾、スパイ小道具、石井式ろ過装置、当時の様子を再現した研究室。光を完全に遮断するよう入口はクランク式に270度旋回する。当然見学者はエクスクルーシブに僕一人、じっくりとその展示物を堪能した。

 

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ガキどもがわくわくする内容が詰まっているに違いない

 

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昭和初期の名著、化学兵器。必読書だ。

 

 

津久井道沿いに帰路についた。夏の青空にはなぜか小田急線が似合う。東急でも京急でもいかんのだ。やっぱ夏は小田急なのだ。と思いながら撮り鉄よろしく小田原行きをカメラに収めた。

 

 

裏ランド坂の登坂をゼイゼイいいながら、いつの間にか俺も小田急電鉄の宣伝戦略に引っかかっているのではないかとの疑義が生じた。秘密戦の奥深さを身をもって感じた。.

 

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風船爆弾。60時間をかけて米本土に到達。シンプルだが、高度な航法制御が必要だ

 

明治大学平和教育登戸研究所資料館

https://www.meiji.ac.jp/noborito/about/index.html

グーグルマップ

https://goo.gl/maps/RSnZBucNyge7jhKi6