銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

velib’でパリを駆け抜けルブルジェ航空宇宙博物館へ (180918)

2018.09.18

 

シャルル・ド・ゴール空港からパリの京浜東北線RER B線で市内へ向かって後悔した。各種媒体で注意喚起されている通りガラが悪く居心地が悪い。民族衣装を着込み出自を誇りにする中東・アフリカ・南アジア系でごった返し聞いたことない言葉で溢れかえる。ジモティは仕事のなさそうな冴えないアンちゃんとイチャイチャするアバズレ。いろんな香水やら体臭がごちゃまぜでむせ返りそうだ。混雑で肌が触れ合うたびに殺気が湧いて来る。場違いに一人だけポツンといる中国人の俺はスミッコで息を殺した。夜間やスーツを着た状態での利用はやめておこう。 大人しく直行バスでモンパルナスへ向かうべきだ。ザクッと言ってしまえばパリの治安は東京と同じ。城南から時計回りに地価が下がっていく。そういうことだ。



ただ便利な路線であることは確かで比較的治安の落ち着いている住宅街の14区ダンヒュール・ロシャロー駅まで一本で行ける。日本でいう目黒区だ。クソ重いカバンをガラガラ引きずって10分程歩き投宿先についた。なんとか見つけたその三ツ星ホテルは狭くてボロくて料金に見合わない。川崎とか川口の様な郊外もまたオノボリには危ないということだし、さっき通ってきた東北部は相場は安いが治安は最低だ。二つ星以下は貧乏旅行者向け。結局目黒のこのボロ宿が俺に見合った場所だということだ。やってられないぜ。駅前の商店街は東急沿線といった雰囲気で中産階級っぽいリベラルでリラックスした空気に包まれていた。中国のオバさん経営の場末の経済飯屋で炒飯と豆腐そして青島啤酒を注文したら2000円もしやがった。

 

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実用写真の発明家が暮らしていたことにちなんでつけられたダゲール通り


時差ボケを引きずったまま小さすぎて疲れるベッドの上で日曜日の朝2時に目覚める。やることないから帰国までの日程を数えながら必要枚数の洗濯を始めた。安宿ではクリーニングサービスがないところが多いし、あっても日曜日はお休みだ。移動が多いと出す暇もない。出しても服が結構痛むし結局ロクなことはない。洗濯難民となった俺はクソ狭いバスルームで洗ったパンツを絞りながらふと見上げた天井の黒ずんだカビをみてそのまま首を吊りたくなった。狭い部屋の隅に置いてあったカバーが取れ羽根がむき出しの貧乏臭い扇風機を引っ張り出して早く乾くだろと風を当てておいた。

一仕事を終えると腹が減った。もって来たカップラーメンに水を注ぎ時間をかけて戻しながら交通公団謹製のなかなか良く出来たアプリを暇つぶしに眺めているとルブルジェ航空宇宙博物館なるもの発見!治安の悪い北駅からバスだがまあいいや。折角だからシェア自転車でバス停まで行くことにした。

 

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パリのシェア自転車velib’

 

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もはや説明不要



故障ばかりで稼働機材がなく駐輪場を3軒はしご。やっと見つけた俺様専用車でオノボリらしくエッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通りを抜け北駅へ向かうというわかりやすいコースを選択。石畳みは走りにくいが日曜の朝で道が空いている。秋を感じるピリッと冷たい風を感じながら気分爽快だ。やっぱチャリオタで良かったぜ。


北駅からは350番路線のバスに乗車。昨日のB線と同じく国際色豊かな乗客たちだ。ビッグファットママに、部族衣装、レゲエ、チンピラ、ジョージマイケル風の中東のオッさん。あとは南アジア系と煮ても焼いても食えそうにない濃い面々でマトモな奴は俺しかいないぜ。とは言え小銭を持ち合わせずテキトーな運転手にまぁいいから早く乗れよとタダ乗りしている俺もロクデナシだ。

 

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なぜかルブルジェ航空宇宙博物館も今日はタダ、郊外でアクセス悪いため観光客もおらず基本は地元のちびっ子連れのご家族くらいしかおらずじっくり見学できる。オタには嬉しいぜ。展示の目玉はコンコルドとミラージュ戦闘機など国産機材。核弾頭搭載可能な弾道弾ミサイルも誇らしげに展示されている。宇宙関連はイマイチ充実度が低い。宇宙開発史の金字塔ナチスのブラウン博士の傑作V2ロケットはなぜか出てこない。やはり嫌な思い出なのだろうか。

 

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夢の超音速機コンコルド(1969-2003)機内は狭く恐らく180cm以下でないと直立できない。ぶっ飛んだスペックに時代がついてこれず退役した

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ルデュック実験機(1949-1958)ラムジェットエンジン搭載の特徴的な形状をしている。ミラージュ戦闘機がコンペに勝ち残った

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ペイヤン pa 49 ケイティ 実験機 (1954-1958)

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ダッソー社謹製ミラージュIII.V(1965)垂直離陸の実験機 ノール1500グリフォン実験機(1965)ミラージュIII.A(1956)おフランスいずれもデルタ翼でエレガントなオシャレ感を演出

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地対地戦略弾道弾ミサイルSSBS(Sol-Sol Baristique Srategique)コマンドセンター(1971-1996)仏南部プラトー・ダルビオンからメガトン級の熱核兵器を何千キロも飛ばせるぜ

 

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ポテ53実験機(1933)3機のみ製造された

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Focke-Wolf FW190 Type A8

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ヴォストーク1有人モジュール。1961.04.12人類史上初めての有人宇宙飛行を成功させた。突起部が通信アンテナ,大きい球体が再突入モジュール当然中に人がはいる。周りの小さいタンクは窒素と酸素が充填されている

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ちんぷんかんぷんなフランス語の解説を必死に眺めわかったような分からんようなモヤモヤっとした気分で早々に3時間弱で一通り見終わり帰宅の途に着いた、市内行きは大渋滞。北駅周辺で空き機材を探すもなかなか見つからない。ようやく見つけた愛しのチャリに乗り一方通行ばかりで行きたい方向へなかなか行けず右往左往したがなんとか夕方前に宿に戻った。

 

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ベッドに横になって読みかけの電子書籍でも続けようかと思ったが、古アパートを改造したボロ宿の薄い壁で周りの生活音が筒抜けだ。全然落ち着かず字面を追うだけで頭に入ってこない。空調もない薄暗い部屋でじっとしていると憂鬱になって来たので気晴らしにちょっと出ることにした。行くあてもないので喫茶店に入りテラス席の小さなテーブルを見つけコーヒーとマフィンを注文した。通りを行き交う人々を観察しながらようやく落ち着いた。そして気づいた。この街でカフェが流行る理由はボロいアパートにいても鬱だし、かといって特に行くところもない、しゃーねえからコーヒーでも飲んでおしゃべりでもして時間を潰そうとそういうことなんだろう。

週明けの朝3時起床。やることなさすぎて夜明けが待ち遠しい。こんなポジティブな気持ちの月曜日は滅多にないことだ。早々に身支度とスリ対策を整えジャケットを羽織り冷たい空気でピリッと締まったまだ薄暗いがきれいに晴れた朝の通りを足取り軽く駅へ向かった。そしてRER B線の大船方面のオルセー・ヴィラ行きに乗り込み仕事に出かけた。

 

ル・ブルジェ航空宇宙博物館

https://www.museeairespace.fr/en

所在地(Google Map)

https://goo.gl/maps/ZGomiJKejMoszuodA

 

Velib (パリのシェア自転車)

https://www.velib-metropole.fr/en_GB

 

ルート(モンパルナス~エッフェル塔シャンゼリゼ~北駅)

https://www.strava.com/routes/21668925