銀輪日報

本と自転車旅とB級グルメ

日光あかがね街道~わたらせ渓谷鉄道の旅

2016.07.24 62.6km

 

日光駅から約90分、だれともすれ違うことなく淡々と上り坂を漕ぎ続け10時過ぎに標高1193mの細尾峠を踏んだ。1978年に日足トンネルが開通するまでは足尾銅山と日光の精錬所を結ぶ地域の大動脈だった。そのためつづら折りの続く峠道であるが、銅鉱石満載のトラックが登れないような激坂ではない。今では通るものもほぼいないようで、道路は苔むしちょっと荒れた感じだ。真夏の青空が広がっていたが、手入れのされていない木々が緑のトンネルをつくり結構涼しく、山から吹き下ろす風が快適だ。

f:id:trail7:20190905044653j:plain

味わい深い日光駅洋風駅舎だ。1925年~

f:id:trail7:20190905044834j:plain

苔むす旧道区間。現在は日足トンネルがメイン。自転車でゆっくり登った

f:id:trail7:20190905063554j:plain

朽ち果てつつあるおにぎり、味わい深いぜ

峠を越えれば後は下り。あっという間に足尾地区におり無人足尾駅で一息ついた。栄光の鉱山都市足尾も今やひっそりとしている。かつての繁栄の遺構をカメラに収めた。通洞動力所。コンプレッサーで空気を圧縮し、坑内の換気と削岩機の動力として用いられた。隣接する新梨子油力発電所は、大正4年に当時最大規模の1000KWの発電能力を誇ったが昭和29年に廃止された。好調な中国経済により受給が逼迫した2011年、ロンドン金属取引所の3ヶ月先物相場は史上最高値の1トンあたり11,000ドルをつけたが、いまは5,000ドルを割り続ける展開。どう転んでももはや復活はないだろう。煉瓦造りの廃墟に諸行無常の風が吹いていた。

 

f:id:trail7:20190905063639j:plain

通洞動力所。コンプレッサーで空気を圧縮し、坑内の換気と削岩機の動力として用いられた

その後草木ダムで今年初のダムカードをゲット、わたらせ渓谷鐵道直営の列車レストランがある神戸駅へ向かった。ステキな響きにつられたが、実際は地元のおばちゃんがやっている食堂だ。看板メニューであろうトロッコ電車弁当を注文した。珍しくサイクリング中にまともなメシを食べたらその後わき腹が痛くなった。味気ないが行動食もなかなか機能的なもんだなぁと改めて認識した。その土地の食事をして、地元資本にほんのすこしお金を落とす。こういうのも旅行者としては大切なことだ。

 

f:id:trail7:20190905063800j:plain

ロッコ弁当、旅気分だ

駅の中の温泉が売りの水沢駅がゴールだ。数キロ離れた源泉を引き、沸かし湯だけに湯加減バッチリ。ただわざわざ電車に乗って来る程でもなく、地元のご老人が主な客層。しかしその経営努力に敬意を評したい。さっぱりしたところで到着したわたらせ渓谷鐡道に乗り込んだ。一両編成のディーゼル車は運転席も開けっ放げに真夏の太陽が降り注ぐ赤茶けた単線レールをゴトゴトと下っていった。

 

f:id:trail7:20190905063850j:plain

わたらせ渓谷鉄道、わ鐵は夏の空をガタゴトと進んでいった

ルート 

https://www.strava.com/routes/21538716